【9月24日 People’s Daily】喬進双梅(Qiao Jinshuangmei)さんは四川省(Sichuan)馬辺イ族自治県(Mabian Yi Autonomous Prefecture)で刺繍(ししゅう)製品制作会社に勤める刺繍職人だ。同時に、彼女は中国全国人民代表大会の代表でもある。全国両会などの重要な場には、喬進双梅さんはイ族の衣装に盛装して出席する。現代の要素が融合した、イ族の特色ある民族衣装は、彼女と制作会社の刺繍職人がともに手縫いで仕上げたものだ。

 母親の影響で、喬進双梅さんは幼少期から刺繍が好きだった。2015年、彼女と4人の刺繍職人は資金を集め、刺繍製品の制作会社を設立した。喬進双梅さんは県内の貧困家庭に募集をかけ、さらに多くの貧困家庭出身者が手芸を学ぶ機会を設けた。

 イ族刺繍で貧困扶助をするために、喬進双梅さんは思い切って一部貧しい刺繍職人の作品を買った。彼女は周囲に、あるスカーフが1000元(約1万5000円)で転売できたと言った。しかし実際には、スカーフは売られていなかった。喬進双梅さんが言うには、嘘をついたのは彼女たちを励まして、刺繍の力を信じてもらい、彼女たちの生活を変えるためだったという。

 現在では、本当に「スカーフが1000元で売れる」ようになった。地元の婦女連合会は制作会社のために無料の技能訓練を組織し、金融機関も融資の優遇をするようになった。制作会社は成都(Chengdu)の企業と生産販売協議を結び、彼女たちが刺繍したスカーフは成都の市場で高値が付くようになった。5人の刺繍職人で始めた制作会社は現在、早くも300人近くの職人を抱え、職人の月収も増えた。

 2018年11月、馬辺へ支援を行っている国家電網会社の主催で、貧困扶助を目的としたイ族刺繍コンテストが開催された。決勝戦では、30人以上の刺繍職人が自作の民族衣装で着飾ってコンテストの舞台に上がった。以来、スポンサー企業が制作会社にライブストリーマーとの連絡、インターネット販売スキルの訓練、eコマースサイトへのイ族刺繍作品の出品などをサポートするようになった。

 これらの経験から、喬進双梅さんは仕事についてより深く考えるようになった。彼女は人民代表大会で、貧民の計画移住政策にスポンサー企業の役割について、何度も提案した。「私たちの例を挙げると、国家電網のようなスポンサー企業の導きがあったことで、eコマースプラットフォームを通じて北京や香港、深セン(Shenzhen)などの大都市に販売することができるよう助けを得ることができました」と、喬進双梅さんは話す。

 1人の女性代表として、喬進双梅さんは貧困脱出戦略における女性の位置づけと作用について深く実感している。「女性は男性と同じだけの能力を持ち、少数民族の女性には貧困を脱し富を築く潜在能力があるのです」。防疫期間中、喬進双梅さんは地元メディアの助けを借りて、家で刺繍をするキャンペーンを展開した。また、人民代表大会でも案を提出し、少数民族女性の創業・就業を後押しする、より多くの政策の実現を呼びかける。(c)People's Daily/AFPBB News