【9月23日 AFP】英国で10月からスポーツスタジアムへ観客を戻す計画が先送りにされたことを受け、各種スポーツチームと協会は、今後半年間は入場料収入を断たれる可能性を受け入れざるを得ない状況に立たされている。

 英政府は、10月1日からソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)をした上でスポーツ会場をファンに再開放する計画を立てていたが、国内で新型コロナウイルスの感染者が再び急増していることを受け、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相が22日の下院で、計画を進めることはできないと発表した。

 さらに首相は、無観客を「おそらく6か月間」維持するとも示唆しており、プロクラブや草の根クラブが前代未聞の規模で消滅する事態を避けるには、政府による大幅な財政支援が必要になることがほぼ確実となった。

 多くのスポーツ団体は、試合当日の収入に運営を大きく依存しており、今回の決定は壊滅的な痛手となる。そのため、各団体はすでに緊急支援を求める声を上げ、オリバー・ダウデン(Oliver Dowden)デジタル・文化・メディア・スポーツ相と臨時の会合を行って決定の影響を話し合った。

 サッカーのプレミアリーグやクリケットのテストマッチなどのプロスポーツは、新型ウイルスの感染拡大で春に一時中断し、再開後も基本的には無観客での試合開催が続いている。

 プレミアリーグは、ファン不在が続けばクラブや地元地域は「壊滅的な影響」を受けると危機感を示し、「昨季プレミアが被った損失は7億ポンド(約937億円)に上り、現在も国内サッカーは毎月1億ポンド(約134億円)以上を失い続けている」と話している。

 イングランドラグビー協会(RFU)も、無観客による損失は秋のテストマッチシリーズとシックスネーションズ(Six Nations Rugby)だけでも1億ポンド以上に達する見込みだと話し、政府による補填(ほてん)を求めている。ダウデン氏は、各スポーツの代表と「連携」しながら損失を抑えたいと話している。(c)AFP