【9月22日 AFP】インド政府は20日、インド洋の島国モルディブに対し、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた経済の再建支援として2億5000万ドル(約260億円)を融資すると発表した。南アジアで経済的影響力を強める中国に対抗する狙いがあるとみられる。

 主要な東西海上交通路上に位置し、1192の島から成る島しょ国のモルディブは、高級リゾートとして観光業が有名だが、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で休止していた国際線の運航が7月中旬に再開された後も外国人観光客が戻らず、経済的に大きな打撃を受けている。

 駐モルディブのインド高等弁務官は、モルディブのイブラヒム・モハメド・ソーリフ(Ibrahim Mohamed Solih)大統領から「厳しい経済情勢を克服するための財政支援」要請があったことを受けた支援であり、モルディブ経済再建に向けて自由に優先順位を付けて使うことができると発表した。

 融資は国営インドステイト銀行(State Bank of India)がモルディブ国債を買い上げる形で行われ、償還期間は10年に設定されるという。

 インド政府は8月にも、モルディブに橋や道路の建設費として5億ドル(約520億円)の資金を提供すると発表している。

 ソーリフ政権によると、2018年の選挙で敗れたアブドラ・ヤミーン(Abdulla Yameen)前大統領の在任中、モルディブは高額のインフラ整備プロジェクトのために中国から約14億ドル(約1460億円)を借り入れていた。

 中国によるアジア内外の諸国への援助は影響力拡大策であると同時に、借り手となる国々に持続不可能な債務を負わせているとして批判と懸念が持ち上がっている。(c)AFP