【9月22日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は21日、ニューヨークとシアトル(Seattle)、ポートランド(Portland)の各都市について、「無秩序を許し」市民を不安に陥れている法域であり、連邦政府による支援の凍結も辞さないと宣言した。

 米全土ではここ数か月にわたり、黒人に対する警察の暴力に抗議する反人種差別デモが急増している。そうした中、11月に控える米大統領選で再選を狙う共和党のトランプ氏は、「法と秩序」のイメージ強化に乗り出し、司法省に対し今月、「米各都市で無秩序と暴力、破壊を許している自治体を特定する」よう要請していた。

 これを受け司法省は21日、銃犯罪や抗議行動、略奪行為の急増などを理由に挙げ、市民の監督に失敗しているとしてニューヨーク、ポートランド、シアトルの各市自治体を非難した。

 同省はまた、ニューヨーク市が健康、教育、精神衛生などに市の予算を使うべきだという世論の圧力を受けて、実際に警察予算を削減することにも言及した。

 一方、司法省は11月の大統領選で鍵を握るミネソタ州とウィスコンシン州の複数の都市で、警察の横暴に対する抗議デモが長期間にわたって続き、時に暴動に転じている点には言及しなかった。

 ウィリアム・バー(William Barr)司法長官は、「州や地方自治体の指導者が、警察官および自治体機関の職務遂行を妨げれば、平和的抗議のために集まっている人々も含め、保護されるべき罪のない市民を危険にさらす」「きょう、司法省が名前を挙げた都市が方向転換し、政府の基本的機能を果たすことに真剣になり、市民の保護を開始することを期待する」と述べた。

 一方、財政的に厳しい中で警察予算を削減したニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長(民主党)はこの動きを「トランプ大統領のゲームの一つ」だとして取り合わず、「全く事実に基づいていない」「ニューヨーク市民を侮辱している」と非難した。(c)AFP