【9月21日 AFP】旧ソ連の神経剤ノビチョクの極秘開発計画に携わった化学者がこのほど、独ベルリンで療養中のロシアの野党勢力指導者、アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏に謝罪した。ナワリヌイ氏はノビチョク系の毒物を盛られたとみられている。

 ノビチョクの開発を最初に明らかにした旧ソ連の化学者、ビル・ミルザヤノフ(Vil Mirzayanov)氏は19日夜、ロシアのテレビ・レイン(TV Rain)とのインタビューで、ナワリヌイ氏に謝罪したいと発言した。これに先立ちドイツ政府は、ナワリヌイ氏にノビチョクが使用された「動かぬ証拠」があると発表していた。

 現在は米国で暮らすミルザヤノフ氏は、「この犯罪行為に加担し、ナワリヌイ氏に盛られたこの物質を開発した事実について、同氏に心から謝罪したい」と述べた。

 ミルザヤノフ氏は、「ナワリヌイ氏は今は我慢しなければならないが、ゆくゆくは健康を取り戻すだろう」と述べ、回復には「1年近く」かかるとの見方を示した。

 化学者のレオニード・リンク(Leonid Rink)氏は20日、ミルザヤノフ氏の発言を一笑に付した。ロシアメディアによると、リンク氏はノビチョク開発計画に携わったとされる。

 リンク氏は国営ロシア通信(RIA)の取材に対し、ミルザヤノフ氏は同じ研究所に勤めていたが、「一般の」化学者で、ノビチョクの開発に直接関与していないと述べた。

 さらに、ミルザヤノフ氏は「ノビチョクの開発とは全くの無関係」で、ノビチョクの「生物学的効果」を知り得たはずがないと主張。さらに、「使われたのがノビチョクなら、ナワリヌイ氏は生きてはいないだろう」と述べた。(c)AFP