【9月23日 AFP】対戦型競技ゲーム、eスポーツのプレーヤーらは手首の負傷をはじめ、肥満症、ストレス、糖尿病など、さまざまな症状や病気に悩まされており、eスポーツ業界の健康基準をめぐる懸念が増大している。こうした状況を受け、新たに設立された国際連盟がこの問題に対処することを約束した。

 eスポーツは成長が著しく、ゲーム市場調査会社ニューズー(NewZoo)によると、2020年の同業界の収益は11億ドル(約1200億円)に達すると予測されている。しかし今年6月、eスポーツの世界的プレーヤーで、本国の中国で絶大な人気を誇っていたUziこと簡自豪(Jian Zihao)さん(23)が引退を発表し、eスポーツ界に激震が走った。

 中国メディアによると、1997年生まれの簡さんは、オンライン対戦ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」のスター選手と評されていたが、「慢性的なストレス、肥満、不規則な食生活、夜更かしやその他の理由」から、2型糖尿病を発症したことを明らかにし、さらに手の故障も抱えていた。

 だが、簡さんのケースは決して珍しいわけではない。米オステオパシー協会(American Osteopathic Association)によると、プロ選手になると、1分間に最大で500もの動作を行い、1日に何時間もの練習を積む。

 オステオパシー協会が2019年に発表した報告書は、eスポーツは「本質的に座りっ放し」であるため、選手たちが「首、背中、上肢などの筋骨格系の外傷」を負う可能性が高くなると指摘するとともに、ゲーム依存症や社会的行動障害をめぐる懸念についても警告している。

 eスポーツに対して警鐘が鳴らされるのは、今に始まったことではない。eスポーツは、人気が急速に広がっているにもかかわらず、スポーツ界の主流派からは賛否両論をもって迎えられている。

 五輪に参入する試みは、これまでのところ難航しているが、その理由としては、競合する企業間にまとまりがないこと、ゲームの性質がしょっちゅう変わること、ゲームをスポーツの一種と見なせるかどうかをめぐる根本的な問題などが挙げられている。