【9月18日 AFP】中国北西部甘粛(Gansu)省蘭州(Lanzhou)で、動物用ワクチンを製造していた国有の生物製薬工場からブルセラ菌が流出し、その感染症検査で数千人が陽性反応を示していたことが分かった。

 蘭州の保健当局は、3245人がブルセラ症を発症したと発表。これは主にブルセラ菌に感染した動物や動物性食品と接触することで罹患(りかん)する病気で、発熱や関節痛、頭痛の症状が出る。

 さらに1401人が早期陽性を示したとされるが、保健当局は、人から人への感染を示す証拠はないとしている。

 中国当局によると、ある生物製薬工場での動物用ブルセラ症ワクチンの製造過程において、昨年7~8月に使用期限の切れた消毒薬が使用され、排気が滅菌されていなかったという。

 同工場からの汚染された排気はブルセラ菌を含んだエーロゾルとなり、風で近隣の獣医学研究所に到達。同研究所での感染者は、昨年12月の時点で200人近くに上ったという。

 蘭州の保健委員会は18日、ブルセラ菌の拡散には主にヒツジやウシ、ブタが関与すると述べた。

 米疾病対策センター(CDC)よると、ブルセラ菌の人から人への感染は「非常にまれ」である一方で、発熱や慢性的な倦怠(けんたい)感、心臓の炎症、関節炎といった症状が繰り返し表れ、一生完治しないこともあるという。

 同工場は今年に入り謝罪。蘭州当局は、同工場のブルセラ症ワクチンの製造認可はすでに取り消されているとしている。

 現地当局によると、感染者への賠償は来月から始まり、段階的に実施されるという。(c)AFP