コロナ、飼い主からペットに感染の可能性 研究
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【9月18日 AFP】新型コロナウイルスに感染した猫や犬の飼い主は、自身のペットに病気をうつす可能性があるとする小規模な研究が18日、発表された。
新型コロナウイルスは動物から人間に感染する「人獣共通感染症」だ。ペットが新型コロナウイルスの感染拡大に大きな役割を担うという兆候がほとんどない一方で、猫、犬、さらにはトラさえも感染するかもしれないという証拠が増えている。
査読前の最新の予備研究で、カナダの獣医学専門家らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が確認された人らのペットを調査した。
研究では、新型コロナウイルス感染症への感染が確認されて2週間以内の人らが飼う猫17匹、犬18匹、フェレット1匹から綿棒で検体を採取した。これらは1件の不明確な結果を除き、すべて陰性だった。
その後、感染確認後2週間以上が経過した人らのペットを対象に、猫8匹と犬10匹の血液を採取し、抗体検査を実施。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以前に同じ動物から採取した対照試料と比較した。
その結果、全体の50%に当たる猫4匹に新型コロナウイルス感染に特有の抗体IgM(ウイルスへの反応の初期段階に生成)が、38%に当たる猫3匹に抗体IgG(感染後期に出現)の存在がそれぞれ確認された。また、20%に当たる犬2匹にも抗体が確認された。
抗体が確認されたすべての猫と犬1匹は、飼い主らと同時期に呼吸器もしくは他の病気の症状があったと報告されている。
「予備研究を実施した地域でヒトへの感染率が比較的低かったため、有効な検査数が限定されているとはいえ、同研究の結果は、新型コロナウイルス感染症にかかった人のいる世帯のペットのうち、かなりの割合が最終的に抗体を作り出すことを示唆している」と研究の共著者、カナダ・ゲルフ大学(University of Guelph)のドロティ・ビーンツレ(Dorothee Bienzle)教授(獣医病理学)は述べている。
同研究に関わっていない専門家らからは、明白な結論を導くには検査数が少なすぎるとして、ペットの飼い主らは警戒すべきでないとの意見も上がっている。
イーストロンドン大学(University of East London)のサリー・カトラー(Sally Cutler)教授(医学微生物学)は、ペットから距離を取るべきとする十分な証拠はないと指摘。「特に具合の悪い時、ペットは人間の慰めになる」と述べ、また、ペットが人間の感染源になり得るかどうかもまだ示されていないと付け加えた。(c)AFP