【9月19日 Xinhua News】中国山西省(Shanxi)の永楽宮壁画保護研究院は、中国道教の一派、全真道の古刹(こさつ)・永楽宮(同省芮城県)で昨年実施した古文書の整理で、モンゴル・元時代の道教関連の文書百点近くを発見したとこのほど明らかにした。

 専門家の鑑定で、うち5点は元代の道教の度牒(どちょう、僧尼や道士の得度を国が認める文書)や戒牒(かいちょう、授戒証明書)、1点はさらに古い時代の刻印のある道教経典であることが分かった。モンゴル・元時代の全真教の発展、永楽宮の再建の歴史を知る上で貴重な価値があるという。

 永楽宮は正式名称を大純陽万寿宮といい、全真教の三大祖庭(開祖ゆかりの寺院)の一つとして知られる。創建は元代で、1950~60年代の三門峡ダム建設に伴い現在の場所に移築された。61年に全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定されている。

 同研究院の席九竜(せき・きゅうりゅう)院長は、今回見つかった古文書の一つで、元の皇帝が道士の得度・授戒を認める聖旨(命令書)「元皇帝聖旨普度戒牒付長春宮李真人」について、元代の全真教の得度や授戒は皇帝の承認が必要だったことを説明していると指摘。全真教の第7代掌教者・李志常(Li Zhichang)宛てのこの聖旨が永楽宮に保存されていたことについては、全真教の上層部が永楽宮を重要視していたことが分かると述べた。

 席氏によると、これらの貴重な文書は、元代の道教、特に全真教の布教伝道や儀礼の研究を深める上で重要な資料になるという。(c)Xinhua News/AFPBB News