【9月17日 AFP】オランダで、キノコ製の「生きているひつぎ」が作られた。通常のひつぎに比べて、遺体の分解が速いという。発案者は、死後も地球に優しくできる選択肢だとしている。

「生きている繭」を意味する「リビング・コクーン(Living Cocoon)」と名付けられたこのひつぎのアイデアを思い付いたのは、デルフト工科大学(Delft University of Technology)の研究室で学んでいたボブ・ヘンドリックス(Bob Hendrikx)さん。

 ヘンドリックスさんは、キノコの根に当たる菌糸体が遺体を分解し、土を豊かにするこのひつぎは、世界初の「生きているひつぎ」だとしている。

 12日にはオランダ国内で初めて、82歳で亡くなった女性の永眠の場所としてこのひつぎが用いられ、「生命の循環へと戻っていった」と明かした。

 遺体はコケの床の上に安置され、多様な虫など土の生物と共にとどまる。

 金属のハンドルが取り付けられ、ニスを塗って仕上げた従来の木棺の場合、遺体の分解には10年以上かかるとされる。この新しいひつぎの中では、遺体は2~3年以内に分解され、またひつぎそのものも30~45日でなくなるという。

 キノコ製のひつぎは非常に軽く、現時点では約1500ユーロ(約18万6000円)と通常のひつぎよりも安い。

 ヘンドリックスさんは、キノコのひつぎを作るにはさまざまな工程が必要になると説明している。まず森からコケを採取し、次にキノコから菌糸体を抽出。その菌糸体を木くずと混ぜて型に入れると、7日で固まるという。

 ヘンドリックスさんは「ループ(Loop)」という社名で起業し、葬儀場と契約を結んだ。ソーシャルメディア上でも話題になっているという。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK