■対策と抜け穴

 ユニセフのデータによると、インドネシアは世界で最も多く児童婚が行われている国の一つだという。これに対処するため、同国では昨年、法的に結婚が許可される年齢が男女とも16歳から19歳に引き上げられた。

 しかし、そこには抜け穴がある。地元の宗教裁判所が子どもの結婚を許可できるのだ。

 インドネシアの女性強化・児童保護省によると、今年1月から6月までに3万3000件を超える児童婚が同国内のイスラム教当局によって公式に許可されているという。2019年は、年間で2万2000件だった。

 結婚が許可される年齢はベトナムにもある──18歳だ。しかし、ユニセフによると、少女の10人に1人は18歳前に結婚しているとされ、また所属するグループによってはこの件数がほぼ倍になるという。

 北部山岳地帯に暮らす少数民族モン(Hmong)出身のマイさん(15)は、新型コロナウイルスの流行中に妊娠し、6月に建設作業員のボーイフレンド(25)と結婚した。

 両親に経済的余裕はなく、マイさんと生まれてくる子どもは6時間離れた夫の実家の農家に引っ越した。今では宿題をする代わりに、家事や農作物の収穫を手伝っている。

「将来のことはあまり考えない」とマイさんは言う。

■「皆にとっての勝利」

 ユニセフは、児童婚がなくなれば、世代間で引き継がれる貧困の呪縛を断ち切る助けになるとしている。

「教育を受けた少女たちは社会的に力を持つ。子どもに十分な食事を与え、しっかり面倒を見ることができ、結果として家族はより健康的で小規模となる。少女が少女でいることが許されるようになれば、それは皆にとっての勝利となる」

 映像はインドネシアの児童婚の現状。7月22、23、24日・8月25日撮影。(c)AFP/Aishwarya KUMAR / Haeril HALIM in Jakarta / Tran Thi Minh Ha in Hanoi