脱サンフランシスコ…新型コロナ時代の米IT企業、在宅勤務を推進
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■原子よりもバイトを移動せよ
グーグルとフェイスブックは最短でも来年半ばまで、従業員がかつての就業場所に戻ることを期待していない。それどころか、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、同社の従業員の半数は5~10年以内に恒久的な在宅勤務が可能となる見込みだとの考えを示している。
同氏は、「(物質の最小単位である)原子を動かすよりも、バイト(コンピューター上で情報量を表す単位)を動かす方がよほど簡単だ」と冗談を飛ばし、「だから、渋滞で座っているよりも仮想現実やビデオチャットを用いて自分たちを転送させる方がよほどいい」とも述べている。
これまで、無線インターネット付きの快適な専用バスを利用していた従業員らの多くも、シリコンバレーへの通勤で無駄になっていた時間を取り戻すことができると、こうした動きを歓迎している。
金融アナリストでフランス人のロマン・デベック(Romain Daubec)氏とフェイスブックの従業員である米国人の妻は、パンデミックによる家賃の引き下げにもかかわらずサンフランシスコのミッション地区(Mission District)を離れることを決めた。
それを後押ししたのは、依然として高い生活費と活気を失った社交の場、そしてすでに離れてしまった友人らの存在だ。
夫婦は、シリコンバレーからは約2000キロ離れてはいるが、時間帯の近い米コロラド州の州都デンバー(Denver)を転居先とする意向だという。そこでは山々の美しさと、今よりも約30%安い家賃に喜びを得ることができる。
フェイスブックや他のテクノロジー企業は、最終的には現地の生活費に合うよう給与の支払いを調整する。しかし、コロラドやテキサスなどの州では、サンフランシスコよりもはるかに低い税率で給料に課税される。