【9月22日 AFP】米サンフランシスコではこれまで、建設車両やテクノロジー企業で働く流行に敏感な人たちを目にすることが多かったが、最近は引っ越し業者の車両が増えたと不動産業者のキルビー・ステンカンプ(Kilby Stenkamp)さんは話す──。

 米IT大手グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)、画像収集管理サイトのピンタレスト(Pinterest)やツイッター(Twitter)、そして他のIT系企業の近くにいようと、技術系の人材はこれまでサンフランシスコ周辺に集まっていた。しかし、ここにきてより広々とし、生活費も安い米国の他の土地へと多くが移動し始めている。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって在宅勤務する人の割合が一気に増え、技術系の人材にとって長らく憧れの地だったこの場所にも異変が生じているのだ。

 雇用をめぐっては、フェイスブックが新たな動きを見せており、従業員に会社周辺に住むことを求めることはせず、より広い範囲を対象に遠方の人材も確保する方針に切り替えている。

 サンフランシスコは今年3月、通勤や通学、その他の活動について移動制限を課した米国で最初の都市の一つだった。それから約半年が経過し、パンデミック以前の暮らしに戻る兆しがほとんど見られない中、一部の住民はここにとどまるべきなのか疑問を抱き始めているのだ。

■無期限での在宅勤務

 ツイッターならびに企業向けのメッセージサービスを提供するスラック(Slack)は、無期限での在宅勤務が可能だとそれぞれの従業員に伝えた。

 ピンタレストも先ごろ、サンフランシスコに所有する現在の事務所を今後も利用すると述べ、シリコンバレー(Silicon Valley)の新事務所のリース契約の解除に9000万ドル(約94億円)を費やしたと発表した。

「われわれはコロナ後の世界で労働環境がどのように変わっていくかを分析しており、特に未来の従業員がどこに拠点を置くことができるかについて再考している」と同社のトッド・モーゲンフェルド(Todd Morgenfeld)最高財務責任者(CFO)はこの動きについて説明した。