【9月17日 AFP】米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)の737MAX型機が起こした2度の墜落事故について、米議会下院の委員会がまとめた報告書が16日、公表された。報告書は、同社と米連邦航空局(FAA)の「深刻な怠慢の繰り返し」が事故の原因だと批判し、米国の航空規制制度の抜本的改革を求めた。

 報告は、「MAX機の墜落は一度の怠慢や技術的誤り、管理不届きの結果ではない」「ボーイングの技術者らによる一連の誤った技術的な想定および同社経営の透明性の欠如、そしてFAAの監視が極めて不十分だったという悲惨な出来事の積み重ねの結果だ」としている。

 今回公表された239ページにおよぶ報告書は、オレゴン州選出の民主党議員のピーター・デファジオ(Peter DeFazio)委員長率いる下院の運輸経済基盤委員会が、計346人が死亡したライオン航空(Lion Air)とエチオピア航空(Ethiopian Airlines)の墜落事故を18か月にわたり調査し、まとめたもの。737MAX型機は、2019年3月から運航停止となっている。

 さらに報告書は、ボーイング内で、欧州航空機大手エアバス(Airbus)に対抗するため737MAX型機の開発を急ぐよう圧力があったこと、規制当局に重要な情報を開示しない「隠蔽(いんぺい)文化」があったこと、同社がFAA上層部に対し過度の影響力があり、監督機能が損なわれていたことなど、数多くの問題点を指摘している。

 報告書のページの多くは、2件の墜落事故の主要因とみられている自動失速防止システム(MCAS)に割かれている。

 MCASには「設計不良」があった上、ボーイングはMCASの重要性を軽視し、故障が重大な事故につながる恐れがある「セーフティークリティカル」に分類しなかったと指摘。もしMCASがセーフティークリティカルに分類されていれば、より厳格な審査が行われていたという。

 同社はさらに、MCASに関する極めて重要な情報を隠蔽し、操縦士らにもその存在を伝えていなかったという。

 同報告書は、米国の規制制度の抜本的改革を要求している。「ボーイングとFAAはこれまで、737MAX型機の承認はFAAの規制に沿っていたと示唆してきた」「規制に沿っていた航空機が5か月足らずで2度の墜落事故を起こしたということは、現行の規制制度に根本的欠陥があり、改革を必要としていることを示す明確な証拠だ」としている。(c)AFP/John BIERS