【9月17日 AFP】白色矮星(わいせい)となった恒星の近くを原形を保ったまま周回する系外惑星が初めて発見された。研究結果が16日、発表された。見つかった惑星「WD 1856b」は木星ほどの大きさがあり、研究者らは、この巨大惑星の運命をたどることにより、約50億年を経て太陽が白色矮星になる時の太陽系の姿を予想することができるとしている。

 太陽のような恒星は、内部の水素が燃え尽きると「死の段階」に入る。最初に大きく膨張して光り輝く赤色巨星となり、近くにある惑星は膨張する赤色巨星にのみ込まれてしまう。

 その後、赤色巨星は崩壊して縮小し、燃え尽きた中心核のみが残る。これが白色矮星だ。熱エネルギーの残りでかすかな光を放つこの超高密度の星の燃えさしは、数十億年かけてゆっくりと光を失っていく。

 今回の発見では、縮小した主星「WD 1856+534」の前を1.4日ごとに通過する惑星WD 1856bの様子を米航空宇宙局(NASA)の系外惑星探査衛星「TESS(テス)」が捉えた。惑星WD 1856bは、縮小した主星の約10倍の大きさを誇るという。

 主星が赤色巨星期に入ると、近くに位置する惑星が残存する可能性はほぼなくなるとこれまでは考えられていた。太陽系では、太陽が赤色巨星になると、水星や金星、そしておそらく地球ものみ込まれてしまうことが予想されている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された研究でチームを率いた米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)のアンドリュー・バンダーバーグ(Andrew Vanderburg)助教は、「当初は主星からはるか遠くの軌道を周回していたが、主星が白色矮星となった後に何らかの形で内側に移動してきたことを研究結果は示唆している」とWD 1856bについて説明する。

 研究では、さまざまなシナリオでシミュレーションを行った。その結果、WD 1856bは他の惑星との相互作用によって、主星に近接する軌道へと投入された可能性があると分かった。

 今回の研究には参加していない英シェフィールド大学(Sheffield University)のスティーブン・パーソンズ(Steven Parsons)氏は、研究の解説記事の中で、「今後この恒星系内で新たな惑星が検出されるというような非常に興味深い展望をもたらしている」と今回の発見について話す。

 また、白色矮星WD 1856+534は地球からわずか82光年の距離にあるため、他の惑星がWD 1856+534に及ぼす重力効果を宇宙望遠鏡による探査で検出できる可能性についても触れた。(c)AFP/Kelly MACNAMARA