【9月17日 AFP】約12万年前、現在のサウジアラビア北部で、現生人類ホモ・サピエンスの小さな一団が浅い湖に立ち寄り、水を飲み、食料を調達した。湖には今日見られるどの種よりも大きなラクダや水牛、ゾウも頻繁に訪れていた。

 ホモ・サピエンスの一団は大型の哺乳動物を狩ったかもしれないが、湖は長旅の通過地点にすぎず、長くとどまることはなかった。

 これは、サウジアラビアのネフド砂漠(Nefud Desert)で発見された古代人と動物の足跡を基に再構築された場面で、17日の米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)で発表された新たな論文に記載されている。

 論文の筆頭著者で、ドイツのマックスプランク化学生態学研究所(Max Planck Institute for Chemical Ecology)に所属するマシュー・スチュワート(Mathew Stewart)氏はAFPに対し、足跡は2017年、博士課程のフィールドワーク中に、古代の湖で見つけたと説明した。堆積物が浸食された結果の発見だった。

 今日のアラビア半島(Arabian Peninsula)は、古代人や動物たちにとっては住みづらかったであろう、広大な不毛の砂漠という特徴を持つ。

 しかし、過去10年間の研究で、いつでもそうだったわけではないことが示された。自然の気候変化により、アラビア半島は最終間氷期には、より緑豊かでより湿度の高い状態にあった。

「過去のある時点で、アラビア半島内陸を占める砂漠は、常に水をたたえる淡水湖や川のある広大な草原に変わった」と論文の共著者で、英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校(Royal Holloway, University of London)のリチャード・クラークウィルソン(Richard Clark-Wilson)氏は説明した。(c)AFP/Issam AHMED