【9月16日 AFP】騒音によるストレスを受けた魚は病気を撃退する力が弱まり、長期間騒音にさらされた場合には短命になることが、15日に発表された研究論文で明らかになった。人工的な騒音の自然界への影響がさらに浮き彫りになった。

 英カーディフ大学(Cardiff University)の研究チームによると、騒音が「ストレス、聴力低下、行動変異、免疫への影響」につながることはすでに分かっていたが、免疫にどう影響するかについての研究は「なおざりに」されてきたという。

 研究ではホワイトノイズをランダムに水槽に流し、寄生虫を宿させたグッピーへの影響を調べた。

 グッピーのグループの一つには騒音を24時間聞かせ、もう一つのグループには7日間聞かせた。

 前者のグループのグッピーには騒音を聞かせた後に、後者のグループのグッピーには実験中に、麻酔をかけて寄生虫を宿した。

 また、三つ目のグループは対照群として、寄生虫を宿したが騒音は聞かせなかった。

 この結果、17日間の観察期間で24時間騒音を聞かせたグループの疾病負荷(疾患による健康損失を数値化したもの)が最も高くなった。また、7日間騒音にさらされたグループは短命の傾向が強く、残り2グループのグッピーは平均で14日後に死んだのに対し、このグループのグッピーは平均で12日後に死んだ。

 論文執筆者らは「宿主寄生体相互作用における短期・長期の騒音の悪影響が明らかとなり、騒音と動物の健康被害の関連を明示する証拠がまた一つ増えた」とコメント。また、養魚場で育てられている種は寄生虫に非常に寄生されやすいため、今回明らかになったことが意義を持つかもしれないとしている。

 論文は15日、英学術誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された。(c)AFP