【9月16日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)宝鶏市(Baoji)で出土した後漢時代の青銅製揺銭樹が、同省の文化財保護専門家の2年余りにわたる作業を経て、このほど修復に成功した。

 揺銭樹は「金のなる木」を意味し、漢代の墓葬の副葬品によく見られる。今回修復された揺銭樹は、同市高新区郭家崖村の西にある郭家崖墓地から出土した。墓の形状や構造、出土品から後漢中~後期のものと推定される。

 全体の高さは110センチで、幹と枝葉、台座の3部分からなる。墓室には雨水と土砂が入り込み、揺銭樹も折れた状態で出土した。高さは86センチを残すのみで、周囲に葉や枝が散乱しており、復元作業は困難を極めた。

 陝西省考古研究院文物保護研究室の宋俊栄(Song Junrong)副主任によると、修復作業はサビの除去や葉の分類、欠損部分の補修などの手順で行われた。修復後の幹部分には、5層の枝葉が交差し、鳳凰や玉璧(ぎょくへき)、猿などの装飾が施されている。

 同研究院の田亜岐(Tian Yaqi)研究員は揺銭樹を埋葬する風習について、主に漢から魏晋時代の四川地域を中心とする西南地区に多く見られ、秦嶺山脈以北や中原(黄河中・下流の平原)一帯では比較的少ないと説明。今回修復した揺銭樹については、人物や動物、銅銭など多くの要素で構成されており、精巧で美しい造形を持ち、複雑な技巧を駆使していると指摘。約2千年前の秦嶺蜀道(陝西、甘粛両省と四川省を結ぶ桟道)両端の文化交流を裏付けていると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News