【9月16日 AFP】ロードレース世界選手権(WGP)が、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)と同様に、レース中のチームとライダーとの無線交信を許可することを検討している。しかしそこには、バイクレース特有の問題も立ちはだかる。

 賛成派が主張する一番のメリットは、危険なエリア、あるいは現在ハンドルのディスプレーで確認しているイエローフラッグやレッドフラッグによる順位争いの一時中止などをライダーに伝えられる点にある。また無線システムはF1と同じようにレース戦略の変更を知らせるのにも使える。各チームはこれまで、周回ごとにピットレーンの外にボードを掲げてライダーに情報を伝えてきた。

 1回目のテストは、13日にMotoGPクラスの決勝が行われたサンマリノGPの前に実施されており、2回目の試験走行は、多数のボランティアライダーの協力を得て、同じミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(Misano World Circuit Marco Simoncelli)で15日に行われる。

 エスポンソラーマ・レーシング(Esponsorama Racing)のヨハン・ザルコ(Johann Zarco、フランス)は「ボードでも十分に情報を受け取れている」「情報が増えるのはいつだって興味深いが、F1と同じことはできない。僕らはライダーなんだ」とコメントした。

 ペトロナス・ヤマハSRT(Petronas Yamaha SRT)のファビオ・クアルタラロ(Fabio Quartararo、フランス)も、MotoGPはF1よりも大幅に周回数が少なく、タイヤ交換のためのピットストップもないため、F1ほど頻繁なコミュニケーションは必要ないと指摘している。

「今のように、誰も話しかけてこない状態でもレースはすでに十分難しい」「コーナリングの最中に話しかけられたら気が散るはずだ。それでもどうなるかには興味がある。レース中にヘルメットをかぶったまま話しかけられた経験はないから、どうなるかみてみたい」

 また、バイクはF1マシンよりも音が大きく、ヘルメットの中では風の音もうるさいため、ライダーがメッセージを聞き取れない可能性もある。

 それでも、モンスターエナジー・ヤマハ(Monster Energy Yamaha)のマーベリック・ビニャーレス(Maverick Vinales、スペイン)は「邪魔にならないならプラスだ」「イエローフラッグやレッドフラッグが画面に出ていても見逃すことがあるからね。極限まで集中していると、いつもそちらに目をやるわけにはいかないんだ」と話している。(c)AFP/Jean-Louis Doublet