【9月16日 AFP】米国は15日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による対中関税を批判する世界貿易機関(WTO)の報告書発表を受けて、WTOは中国に説明責任を負わせるには「完全に不適切」だと反発した。

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表は、「米国は不公正な貿易慣行から自国を守ることが許されてしかるべきであり、トランプ政権は、中国がWTOを利用して米国の労働者、企業、農畜産業従事者らを利用することを阻止する」と表明した。

 WTOの紛争処理機関(DSB)が設置した小委員会(専門家パネル)は、米国が約2500億ドル(約26兆円)相当の中国からの輸入品に課した関税はWTO協定とは「矛盾する」ものであるとの判断を下し、米国に「自国の措置を義務に適合させる」よう勧告した。この小委員会は2019年1月、中国に関税を課すというトランプ氏の2018年の決定を精査するために設置された。

 米中両政府は今年に入り、貿易協定の「第1段階」に署名し、貿易戦争は一部休止状態となっている。

 ライトハイザー氏はWTOの判断について、「米国の技術の窃盗防止を目的とした、法的拘束力を持つ中国の新たな取り組みを含め、米中間の合意に影響を及ぼすことはない」との見解を表明した。(c)AFP