【9月15日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)の元会長、カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告の元側近で、金融商品取引法違反の罪に問われている元代表取締役グレッグ・ケリー(Greg Kelly)被告(64)の裁判が15日、東京地方裁判所で始まった。ケリー被告は、有価証券報告書に虚偽記載を行ったとする起訴内容を否認し、無罪を主張した。

 元会長のゴーン被告は昨年、保釈中に日本からレバノンに出国し、現在も逃亡生活を続けている。これにより、長期にわたり繰り広げられている波瀾(はらん)万丈な「ゴーン事件」で、裁判を受ける個人はケリー被告のみとなっている。一方、法人としての日産はこの日、起訴内容を認めた。

 ケリー被告は15日の初公判で、「起訴内容を否認する。共謀には関与していない」と述べ、ゴーン被告が退職後に受け取るはずだったとされる数十億円の報酬を少なく記載したとの罪状を否認した。

 ケリー被告はゴーン被告と同様、不正行為はなかったと繰り返し主張してきた。ケリー被告は、ゴーン被告が退職後に受け取る報酬に関する最終的な合意はなく、法的に開示する必要はなかったとしている。

 裁判前に集まった報道陣に対し、ケリー被告は言葉を発しなかった。

 10か月に及ぶとされる裁判では、ケリー氏と日産が2010年から2018年の間に、退職後のゴーン氏に支払われると約束された約92億円の報酬を違法に隠したかどうかが問われており、法解釈が争点となる見通し。

 今月初めのAFPのインタビューに対し、ケリー被告は「間違ったことはしていない」と語った上で、「カルロス・ゴーンには何も支払われておらず、支払われる予定もなかった」と主張した。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA