【9月16日 CNS】中国の不動産大手・恒大集団(Evergrande Group)は7日から1か月間、すべての不動産物件を30%値下げすることを決めた。多額の負債を解消する目的で、販売ペースの遅い物件はさらに最大12%の追加値下げを実施する。

 9月に新学期が始まり、新社会人が仕事を始める中国では、9月と10月は「金九銀十」といわれる不動産のピークシーズン。恒大グループはこの時期に合わせて値下げキャンペーンを打ち出した。販売目標は2000億元(約3兆1000 億円)を見込んでいる。さまざまな値下げ措置を重ねると、100万元(約1600万円)の物件を58万元(約900万円)で購入することも可能という。

  恒大グループが前例のない割引セールを始めたのは、「借金体質」改善のためだ。

 中国の不動産管理当局は最近、不動産会社の債務について「3つのレッドライン」を示した。資産負債比率は70%以下、純負債資本倍率は100%以下、手元資金の短期負債倍率は100%を基準とし、レッドラインを越える企業は新たな借金ができなくなり、借金の規模も管理されることになった。

 不動産ビッグデータプラットフォーム「諸葛找房」データ研究センターのアナリスト王小嬙(Wang Xiaoqiang)氏は「2019年の財務データを見れば、恒大グループは3本のレッドラインをすべて踏んでいる」と指摘。大幅値引きで迅速に資金を集め、負債比率を減らす必要があるという。

 不動産業界のリーダー、恒大集団による大幅値引きは、不動産市場全体の値引きをもたらすか? オンライン不動産プラットフォーム「貝殻」研究所のアナリスト潘浩(Pan Hao)氏は「全国的に見ると新物件の住宅市場は需要と供給が安定しており、市場が大規模な値下げに傾く可能性は比較的小さい」と分析している (c)CNS/JCM/AFPBB News