【9月14日 AFP】欧州連合(EU)は13日、EUが英国の不安定化を企てているとするボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相の「扇動的」な発言の内容を否定した。ジョンソン首相の発言は、英議会でも激論の的となっている。

 英議会では、英政府がEU加盟27か国と合意したEU離脱(ブレグジット、Brexit)協定の主要部分を変更する新たな法案を提出したことを受け、舌戦が過熱している。英政府は、新法案が離脱協定違反に当たると認めている。

 法案をめぐって現職の議員ばかりかトニー・ブレア(Tony Blair)元首相やジョン・メージャー(John Major)元首相からも猛烈な批判を浴びているジョンソン氏は12日、英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)の紙上で持論を展開。EUはブレグジット後も北アイルランドに特別な地位を認めることで、北アイルランドと英本土との間に新たな貿易障壁を築いて食料の流通を「封鎖」し、英国を分裂させようとしていると非難した。

 この発言について、アイルランドのサイモン・コーブニー(Simon Coveney)外相は「印象操作であり、事実と異なる」と英BBCに反論。「10番地(英首相官邸)による扇動的な言葉だ」と批判した。

 欧州理事会(EU Council)のシャルル・ミシェル(Charles Michel)議長(EU大統領)は、英国の「国際的な信用」が危ぶまれていると指摘した。

 ブレグジット交渉でEU側を代表するミシェル・バルニエ(Michel Barnier)首席交渉官も、離脱協定における北アイルランド議定書は、「英国の統一を脅かすものではない」と述べ、ジョンソン氏の主張を否定した。

 1990年代に英首相として北アイルランド紛争の和平交渉を率いたメージャー氏と、歴史的な北アイルランド和平合意を実現したブレア氏は、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)への寄稿で、ジョンソン政権の行動は「恥さらしであり、英国を辱めている」と非難した。(c)AFP/Jitendra JOSHI