【9月14日 AFP】天然ガス探査をめぐりギリシャと対立しているトルコが東地中海に派遣していた探査船「オルチ・レイス(Oruc Reis)」が、問題の海域を出てトルコ沿岸に戻った。ギリシャのキリアコス・ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は「前向きな最初の一歩」だと歓迎した。

 ギリシャ政府や欧州連合(EU)の再三の抗議にもかかわらず、探査船オルチ・レイスはトルコ海軍艦艇を伴い、8月10日からギリシャ・カステロリゾ(Kastellorizo)島付近の海域で活動していた。

 トルコのフルシ・アカル(Hulusi Akar)国防相は、同船がトルコ沿岸に戻ったことを認めた。船舶位置情報サイト「marinetraffic.com」や「vesselfinder.com」によると、同船はトルコのアンタルヤ(Antalya)港付近にいる。

 アカル国防相は、トルコとギリシャが領有権を主張している問題の海域から探査船を戻したが、これはトルコが当該海域での権利を諦めることを意味しないと述べた。

 しかし、トルコの親政権派日刊紙イエニ・シャファク(Yeni Safak)は13日、探査船の任務を拡大しなかった判断は、「外交にチャンスを与えることに向けた一歩」だとして、いずれも北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるギリシャとトルコの協議にはずみを付けようとする試みと関連づけて伝えた。

 ギリシャのミツォタキス首相は、同国テッサロニキ(Thessaloniki)で13日に開いた記者会見で、「これは前向きな最初の一歩だ」 「こういったことがさらにあることを望む」と述べた。

 リビアやシリアの情勢をめぐりトルコとの関係が悪化しているフランスは、問題の海域に海軍艦艇を送りギリシャを支援。ギリシャは12日、新たにフランスの戦闘機「ラファール(Rafale)」などの兵器を購入すると発表した。

 トルコのアカル国防相は、ギリシャを「唆している」としてフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領を非難した。

 天然ガスや石油を採掘できる可能性のある場所を探すためオルチ・レイスをトルコが派遣したのは、東地中海のエネルギー資源への権利を明確に主張する「青い祖国」戦略の一環とみられる。

 トルコはギリシャ、キプロスとの間で海上の国境について合意できていない。問題の海域ではこの10年間に大規模な石油・天然ガス資源が見つかっており、周辺国の間で緊張が高まっている。(c)AFP/Raziye Akkoc with Katerina Nikolopoulou in Athens