【9月14日 AFP】イラン原子力庁のアリアクバル・サレヒ(Ali Akbar Salehi)長官は13日、首都テヘラン南方のフォルドゥ(Fordow)の地下にあるウラン濃縮施設で1044基の遠心分離機が稼働していると述べた。米国が離脱した2015年のイラン核合意で定められた義務の履行を縮小する動き。

 イランは核合意で、国際的な対イラン制裁の停止、解除と引き換えに、イスラム教シーア派(Shiite)の聖地コム(Qom)に近いこの地下施設でのウラン濃縮活動の全面停止を受け入れていた。

 米国は2018年5月に歴史的なイラン核合意から離脱し、イラン制裁を再開。これを受けてイラン政府は2019年5月からイラン核合意の義務の履行を段階的に停止し、その第4弾として、昨年11月にフォルドゥでのウラン濃縮再開を初めて明らかにしていた。

 サレヒ長官はイラン議会の報道機関ICANAに対し、「現在フォルドゥで1044基の遠心分離機が濃縮を行っている」 「われわれはJCPOA(包括的共同行動計画)で、これら1044基を使って濃縮をしないと約束していたが、その約束を必要な分だけ取り下げたため、現在濃縮を実施している。われわれは濃縮した物質を備蓄する」と述べた。JCPOAはイラン核合意の正式名称。

 イランはこれまでに、核合意で定められていた濃縮ウラン備蓄量や濃度、遠心分離機の台数の上限を超え、禁止されていた高性能遠心分離機の開発にも着手している。

 国際原子力機関(IAEA)は4日、イランの低濃縮ウランの貯蔵量が2015年の核合意の上限の10倍を超えていると発表した。(c)AFP