【9月14日 AFP】(更新)米西部で大規模な山火事が猛威を振るう中、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、14日にカリフォルニア州を訪問して対応に当たる当局者と面会すると発表した。山火事による濃い煙は西海岸を覆い、これまでに35人が死亡している。

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 山火事は乾燥した気象条件により延焼を続け、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州で広範囲が孤立。これまでにニュージャージー州の面積に匹敵する約200万ヘクタール近くが焼失し、被害は史上最悪の規模となった。死者35人のうち27人はこの1週間以内に亡くなっており、行方不明者も数十人に上っている。

 米西海岸各地の当局者からは、気候変動に否定的なトランプ氏を批判する声が相次いでいる。CNNテレビの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン(State of the Union)」に出演したロサンゼルスのエリック・ガルセッティ(Eric Garcetti)市長は、「これは気候変動であり、この政権は現実から目をそむけている」と述べた。

 トランプ氏は、カリフォルニア州で山火事に対応する危機管理当局幹部と面会する予定。同州では今年に入って既に約130万ヘクタール以上が焼失したが、山火事の多い季節はまだ4か月近く続く。

 地球温暖化の影響を一貫して軽視しているトランプ氏は、これまで数週間にわたり山火事に関してほとんど発言してこなかったが、12日にネバダ州で開いた選挙集会で、「このようなものは今までなかった」と被害の規模を認めた上で、「この言葉を覚えていてください。実に簡単だ。森林管理だ」と訴えた。

 ガルセッティ市長は、この発言に「カリフォルニアに住んでいる人全てを侮辱するものだ」「気候変動が現実ではないと思うなら、消防士と話してみるといい」と反論した。

 また、ワシントン州のジェイ・インズリー(Jay Inslee)州知事は、「米西海岸全域が炎上するという途方もない問題にわれわれが直面している今この時に、これは単なる山火事ではなく気候変動による火災だということを否定する大統領がいるというのは、ひどくいらいらする」と、ABCテレビの番組「ディス・ウイーク(This Week)」に語った。

 一方、トランプ氏と大統領選を争う民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)候補は、トランプ氏に先立つ発言で山火事の原因はより広範囲に及ぶと指摘した。

 バイデン氏は「科学は明確であり、このような破壊的な兆候は間違えようがない。気候変動が、私たちの生活様式に差し迫った、実存的脅威となっている」と言明。「トランプ大統領はこの現実を否定しようとすることはできるが、事実は紛れもない」と強調した。(c)AFP/Cyril JULIEN