■新薬の開発

 MRCの近代的な院内では、専門医師30人が1週間に患者400人の治療に当たる。患者の中にはマイセトーマがまん延する他国から来る人もいる。

 左足に包帯を巻いた農業従事者の患者(22)は、治療室で横たわりながら、「1年前、小麦を収穫していた際にとげを踏んでしまった」と述べた。

 医師はこの患者の脚から検体を採取し、この症例が細菌性か真菌性か、それともその両方かを調べる。

 マイセトーマの原因はどちらの場合もあり、これが、MRCが長年続けている治療薬研究を複雑にしている。抗生物質は細菌性の感染には有効だが、真菌性には効果がない。

 ファハル氏は「治療法を探す上での難点は、この疾患は細菌と真菌という二つの異なるものが原因であること」で、「これまでに、いずれにも有効な単一の薬を開発できた人はいない」と説明する。

 研究者らは現在、日本とスイスの科学者と共に新薬の開発に取り組んでいる。「来年か再来年には結果が出ればと思っている」とファハル氏は満面の笑みで語る。「成功すれば、偉大な第1号だ」 (c)AFP/Sammy Ketz