【9月13日 AFP】ロシアで13日、統一地方選挙の投票が始まった。野党勢力指導者のアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の毒殺未遂疑惑のほか、新型コロナウイルスによって深まった経済危機や一部地域の大規模な抗議活動が選挙に影を落とす中、有権者の動向に注目が集まっている。

 投票が行われるのは41地域で、知事や地方議会議員を選ぶ選挙に加え、連邦議会議員の補欠選挙などが4地域で実施される。所得減少や経済の低迷をめぐって国民の怒りがくすぶり続ける中、連邦議会選挙を1年後に控えたタイミングでの今回の地方選は、政府の選挙態勢にとって重要な試練になるとみられている。

 調査会社「R.Politik」のタチアナ・スタノバヤ(Tatiana Stanovaya)代表は、支持率が低下した与党「統一ロシア(United Russia)」の改革および連邦議会選の延期の必要性の有無についての政府の判断に、地方選の結果が一役買うと分析している。

 スタノバヤ氏はAFPに対し、ナワリヌイ氏の毒殺未遂疑惑も有権者に影響を与え、「正反対の効果」をもたらす可能性があると指摘。ナワリヌイ氏がドイツの病院に入院中で政治の舞台から姿を消しているため、同氏が始めた「賢い投票」運動が弱体化する可能性もあるとの見方を示した。

 ナワリヌイ氏が率いる野党勢力は、与党系候補の当選を阻止する可能性が最も高い候補者に一票を投じる戦術的投票を促すことで、政界を牛耳るロシア政府に対抗したい考えだ。スタノバヤ氏は「一方で、ナワリヌイ氏に起きた出来事は衝撃を与えた」と述べ、これまで同氏を支持していなかった有権者の一部が考えを変えた可能性もあると指摘した。

 今回の投票は初めて3日間にわたって行われ、一部の投票所は屋外に設けられている。先行投票は11日に始まっており、13日は本投票日となっている。(c)AFP/Romain COLAS