【9月12日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)は11日、男子シングルス準決勝が行われ、大会第5シードのアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)が3-6、2-6、6-3、6-4、6-3で第20シードのパブロ・カレーニョ・ブスタ(Pablo Carreno Busta、スペイン)に逆転勝ちし、自身初の四大大会(グランドスラム)決勝へ駒を進めた。

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 アーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)での荒れた一戦を3時間23分で制した23歳のズベレフは、決勝で第2シードのドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)と第3シードのダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)の勝者と対戦する。

 キャリアで初めて2セットダウンからの勝利を収めたズベレフは、「0-2になった時にスコアボードを見た」「『信じられない。準決勝でプレーしていて、自分のほうが有利だと思われているのに絶望的だ。それくらいひどいプレーをしている』と思った」と明かし、「だからもっと良いテニスをする必要があったし、もっと安定したプレーをしなくてはいけないというのは分かっていた」と振り返った。

 ズベレフは最初の2セット、緊張にのまれたようなプレーを見せ、カレーニョ・ブスタがわずか12本のアンフォーストエラーに抑えたのに対し、36本もの凡ミスを記録。サービスゲームではダブルフォールトを連発し、自信なさげに打つフォアハンドも精度を欠いて、カレーニョ・ブスタに大きなリードを許した。

 それでも、第3セットからはミスの数を本格的に減らし始め、サービスゲームで改善を見せると、グラウンドストロークも力強さと正確性が増し、ラリーの主導権を獲得。

 お互い初のグランドスラム決勝が目の前に見える中で状況に圧倒されたのか、両者とも緊張やミスはその後も拭えなかったが、最終的にアンフォーストエラーの数をカレーニョ・ブスタの44本に対して57本に抑え、ウイナーを同選手の37本に対して71本と大きく上回ったズベレフが、逆転で決勝への切符をつかんだ。

「初めてのグランドスラム決勝に勝ち進んだ。重要なのはそれだけだ」と語ったズベレフは、「この上なくうれしいが、まだもう1ステップ残っている」と気を引き締めた。

 今年の全米オープンはラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)とロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が欠場し、さらには王者ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が4回戦で誤って線審にボールをぶつけて失格となり、多くの選手に可能性が開かれていた。

 13日の決勝では、錦織圭(Kei Nishikori)を破って2014年の全米オープンを制したマリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)以来となるグランドスラム初優勝者が生まれる。また、ジョコビッチ、ナダル、フェデラー以外の選手がグランドスラムを制すのは、2016年の全米オープンで自身四大大会3勝目を挙げたスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)以来となる。(c)AFP