【9月12日 AFP】2001年の米同時多発攻撃から19年を迎えた11日、大統領選を争う共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)候補がそれぞれ追悼式典に出席した。トランプ氏は厳粛な演説を行った一方、バイデン氏は犠牲者の遺族を慰問。両氏は深く分断した国を団結させる指導力を競い合った。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による攻撃で崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル(World Trade Center)跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」では、3000人近くの犠牲者を追悼する毎年恒例の式典が行われ、バイデン氏が出席した。

 トランプ氏は地元ニューヨークでの式典には出席せず、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領を代理として出席させた。バイデン氏とペンス氏は肘を合わせてあいさつし、短い会話を交わした。

 新型コロナウイルス流行を受けた措置として、今年の弔辞は事前に収録されたものが使われた。同式典での弔辞は通常、犠牲者遺族のみが行うため、バイデン氏とペンス氏はいずれも演説を行わなかった。

 バイデン氏は選挙戦の開始当初、新型コロナウイルスの流行を受けて積極的な運動を行っていなかったが、この日はマスクを着用して群衆に囲まれながら式典に出席。同時多発攻撃で息子が犠牲となった女性(90)との会話では、息子のボー(Beau Biden)氏をがんで亡くした経験を回想し、女性に共感を示した。

 一方、トランプ氏はペンシルベニア州シャンクスビル(Shanksville)で行われた追悼式典に出席した。同時多発攻撃では、ハイジャックされた航空機のうちの1機が乗客と犯行グループとの格闘の末、同市に墜落した。

 トランプ氏は事前に原稿が準備された短い演説で、犠牲者らを追悼。「われわれは一つの米国家として団結し、われわれの自由を守り、価値観を維持し、隣人を愛し、国を慈しみ、(中略)そして決して忘れないという決意を持つ」と述べた。

 バイデン氏も同日にシャンクスビルを訪れたが、トランプ氏はバイデン氏が現地に到着するかなり前に同地を離れたため、両氏が直接対面する機会はなかった。

 トランプ氏とバイデン氏がともに大統領選の鍵を握る激戦州であるペンシルベニアに足を運んだことについて、米コロンビア大学(Columbia University)のロバート・シャピロ(Robert Shapiro)教授(政治学)は、それぞれの陣営による「明らかな計算」だと指摘した。(c)AFP/Brendan SMIALOWSKI