【9月11日 AFP】南米コロンビアの首都ボゴタで、警察からテーザー銃で繰り返し撃たれた男性が死亡した出来事をめぐる抗議デモが暴動に発展し、少なくとも10人が死亡、数百人が負傷した。当局が10日、明らかにした。

 ボゴタでは9日、警官が、地面に横たわるハビエル・オルドネス(Javier Ordonez)さん(46)を、テーザー銃で少なくとも5回撃つ様子を捉えた映像が公開されたのをきっかけに、警官の暴力に抗議するデモが繰り広げられた。

 オルドネスさんの友人が撮影した映像では、オルドネスさんが逮捕される際、警官に「お願いだ、もうやめてくれ」と訴えているのが確認できる。

 複数の警察署が襲撃や破壊されたことを受け、同国のカルロス・オルメス・トルヒジョ・ガルシア(Carlos Holmes Trujillo Garcia)国防相は、「われわれは大規模な暴力行為に直面している」とし、警察を支援するため、人口700万人を超えるボゴタに兵士や憲兵隊を数百人動員すると述べた。

 暴力的な抗議デモは、メデジン(Medellin)やカリ(Cali)などの都市にも拡大している。

 ボゴタのクラウディア・ロペス(Claudia Lopez)市長によると、デモでの死者の多くは銃で撃たれていた。「警察による武器の無差別使用を示した確かな証拠がある」という。

 2人の子どもを持つ弁護士のオルドネスさんは逮捕後、警察署に連行され、地元の医療施設に搬送されたが、その後すぐに死亡した。

 遺族は、オルドネスさんが警察署に連行された後、さらに暴行を受けたと主張している。

 政府によると、警察署56か所が「破壊され」、70人が「警察に暴力を振るった」として逮捕された。

 ガルシア国防相は記者会見で、オルドネスさんを拘束した警官らは直ちに停職処分になったと述べた。

 一方、警察は、公共の場に酔っ払いがいるとの苦情を受け対応したところ、オルドネスさんが警官らに暴力を振るったため、テーザー銃の使用を余儀なくされたと主張している。

 この事件は多くのコロンビア人にとって、同じく46歳の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが5月、警察に拘束された際、手錠を掛けられた状態で死亡した事件を思い起こさせるものとなっている。(c)AFP/Hector Velasco and Linn