【9月11日 AFP】ブラジルで、先住民に関する第一人者がアマゾン(Amazon)熱帯雨林で暮らす孤立先住民が射ったとみられる矢で死亡した。当局者と現地のジャーナリストが11日、明らかにした。

 射殺されたリエリ・フランシスカト(Rieli Franciscato)氏(56)が勤務していたブラジル国立先住民保護財団(FUNAI)によると、フランシスカト氏は外部との接触をほとんど持たない、または全く持たない先住民を保護するプログラムの責任者を務めていた。フランシスカト氏は9日、北部ロンドニア(Rondonia)州の人里離れた自治体セリンゲイラス(Seringueiras)で死亡したという。FUNAIは死亡の経緯については明らかにしていない。

 しかし、同地域のフォトジャーナリスト、ガブリエル・ウチダ(Gabriel Uchida)氏によると、フランシスカト氏は「カウタリオ川(Cautario River)の孤立集団」として知られる先住民の出現を監視していたところ、矢で撃たれたと目撃者らが語ったという。

 フランシスカト氏には警察官1人が同行していた。

 目撃者らによると、フランシスカト氏らは攻撃を受けて車の後ろに逃げ込んだが、フランシスカト氏は胸に矢を受けたという。最寄りの病院に運ばれたが、間もなく死亡した。

 ウチダ氏はAFPのメール取材に対し、この先住民は「平和的な集団として知られている」と述べた。同氏によると、この先住民が前回この地域に姿を見せたのは6月で、「(今回よりも)大勢いて、とても穏やかだった。何軒かの家に贈り物まで置いていった」という。

 ウチダ氏は、「今回は5人の武装した男たち──戦闘部隊だった。彼らを「報復」に駆り立てる何かが起きたに違いない」との見方を示した。

 こうした先住民は、違法採掘業者や密猟者が土地に侵入すると、激しい攻撃に出ることがある。ウチダ氏によると、この地域ではそうした出来事が複数報告されていたという。(c)AFP