【9月11日 AFP】米ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL)のシカゴ・レッドスターズ(Chicago Red Stars)でプレーしていた元女子日本代表FWの永里優季(Yuki Nagasato)が10日、男子の都道府県リーグに所属するはやぶさイレブン(Hayabusa Eleven)に移籍した。異例の一歩を踏み出した同選手は、男女平等の実現に向けて奮闘している米国代表MFミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)に刺激を受けたと明かした。

 日本代表の一員として、2011年のW杯ドイツ大会(FIFA Women’s World Cup 2011)優勝に貢献した永里は、地元神奈川県の社会人リーグに所属するはやぶさイレブンにローン移籍で加わった。

 2021年にはレッドスターズに復帰予定の永里は、兄・源気(Genki Nagasato)が所属する同チームでプロとしてプレーする。

 2012年のロンドン五輪と2015年のW杯カナダ大会(FIFA Women’s World Cup 2015)では準優勝している33歳の永里は、加入記者会見で「選手として男性の中で自分がどれだけできるかというのは、正直未知数なところが大きいと感じています」と語った。

「W杯でラピノーが伝えようとしていた男女格差などの社会的なメッセージにすごく刺激をもらった。自分もそういった社会的なメッセージを発信できないかとずっと考えていた」

 昨年のW杯フランス大会(FIFA Women’s World Cup 2019)で米国を優勝に導き、バロンドール(Ballon d'Or)の女子部門を受賞したラピノーは、社会的公正のための活動に積極的であり、同国代表における男子と女子の平等賃金を実現するための取り組みをけん引してきた。

 永里によれば、はやぶさイレブンでプレーするのは自身の発案で、この移籍が力強いメッセージになることを願っているという。

「男性のチームに入って、女性も挑戦できるんだというメッセージを伝えたい」「性別や人種の境界線をなくしていって、できるだけフラットな関係でいろんな人たちと触れ合えるコミュニティーにしていきたい」

 2017年にレッドスターズに加入した永里は、昨シーズン8得点を挙げ、リーグトップとなる8アシストを記録した。

 一方で永里は、来年に延期となった東京五輪でなでしこジャパンとしてプレーしたいという強い意思はないと明かし、「正直に言うと、イメージが湧いていない」と語った。(c)AFP