■トランプ氏を絶対認めない「ネバー・トランパー」の共和党員ら

 州都オースティン(Austin)近郊のビーケイブ(Bee Cave)もまた保守的な土地柄だが、この街で教師として働くクレア・ヤング(Claire Young)さん(43)は、トランプ氏を絶対に認めない「ネバー・トランパー(Never Trumper)」と呼ばれる共和党員の一人だ。ヤングさんも、共和党員のトランプ離れが目に見えて進んでいると話す。

 テキサス州は死者1万1000人(8月25日時点)を超える新型ウイルスの一大流行地となっているが、「トランプ氏の新型ウイルス対応は、トランプ氏の言動を好意的に解釈してきた多くの人たちも心底怒らせてしまった」とヤングさんは言う。

 前副大統領のバイデン氏にとって、カリフォルニアに次いで人口の多いテキサス州で勝利すれば、とてつもない成功となる。世論調査では全米の支持率に加えて、フロリダ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの各州でもバイデン氏がリードしている。

 一方、テキサス州では両者は接戦状態だ。先月下旬に発表されたキニピアック大学(Quinnipiac University)の世論調査によると、支持率はバイデン氏が45%、トランプ氏が44%と拮抗(きっこう)している。

 専門家らは、テキサス州こそが、今年の大統領選の真の主戦場だとみている。ヒューストン大学(University of Houston)のブランドン・ロッティングハウス(Brandon Rottinghaus)教授(政治学)も、新型ウイルス対応をめぐる「トランプ氏の数字は良くない」と指摘する。

 同氏が例に挙げたのは、特にヒスパニック系と女性の有権者の影響力が強まってきているテキサス州の郊外だ。こうした地域では、不満を持つ有権者を味方につける「説得ゲーム」が起きているという。

 コリービル(Colleyville)近郊に住む聖書勉強会の講師アンナ・グリフィス(Anna Griffith)さん(81)は、何十年も共和党に投票してきたが、トランプ氏はもう支持できないと考えている。テキサス州をモチーフにしたTシャツを着て取材に応じたグリフィスさんは、11月にはバイデン氏に投票すると語った。

 グリフィスさんは、トランプ氏の支持基盤であるキリスト教福音派の信者らを指して、「大統領にふさわしくない傲慢(ごうまん)な人物」を支持する偽善者たちだと批判し、こう続けた。「善良な神なら、傲慢さを忌み嫌う」

 映像は7月20、21日撮影。(c)AFP/Michael Mathes