【9月10日 AFP】世界の哺乳類、鳥類、魚類の個体群は、資源の過剰な利用によって46年間で平均68%減少したことが、10日に公表された「生きている地球レポート(Living Planet Report)」で分かった。専門家らは、人類の存続には自然保護が重要だと警鐘を鳴らしている。

 人間の活動は、地球の陸域の75%と海洋の40%に深刻な悪化をもたらした。急速な自然破壊は人間の健康と生活に甚大な影響を及ぼす可能性が高い。

 4000種以上の脊椎動物を追跡調査している「生きている地球指数(Living Planet Index)」は、1970年から2016年の間に野生動物種の個体群が平均で68%減少した主な要因は、森林伐採の増加と農業用地の拡大だと警告している。

 生きている地球レポートは、世界自然保護基金(WWF)の国際事務局であるWWFインターナショナル(WWF International)とロンドン動物学協会(Zoological Society of London)が共同でまとめたもので、隔年発表されており、今回で13回目となる。

 この中で専門家らは、人間の活動領域が拡大したことで、生息地を失った野生動物と人間の接触機会が大幅に増えており、将来の感染症のパンデミック(世界的な大流行)の危険性が高まったとも警告している。

 WWFインターナショナルのマルコ・ランベルティーニ(Marco Lambertini)事務局長はAFPの取材に、1970年以降、生物多様性は驚くほど失われてきたと語った。

 ランベルティーニ氏は「われわれは30年間、(生物多様性の)減少が加速するのを監視してきた」「2016年には60%だったが、現在は70%減少している」と述べた。

 さらに、「多くの種が数百万年も地球上に生息していたことに比べれば、すべては一瞬のうちに起きている」と付け加えた。

 過去5年でこれまでになく経済が成長し、天然資源の消費が世界的に激増した。

 侵入生物や環境汚染などの要因も影響しているが、森林や草原の産業用地や農地への転用など土地利用の変化が、個体群減少の最大の要因だという。

 現在、地球の陸域の3分の1、淡水の4分の1が食料の生産に使われており、人間を支えるために、持続不可能な水準の資源が求められるようになっている。

 この傾向は海洋でも深刻で、水産資源の75%は過剰に利用されているという。

 また、野生動物の個体群は急速に減少しているが、一部地域で特に顕著だ。中南米の熱帯地域では1970年以降、個体群が94%減少している。(c)AFP/Patrick GALEY