【9月10日 Xinhua News】中国科学院武漢ウイルス研究所の張波(Zhang Bo)氏率いる研究チームがこのほど、アルファウイルスをベクターとして用いた迅速かつ効率的な新型コロナウイルスマウス感染モデルを構築した。同ウイルス研究の動物モデル不足を緩和することが期待されている。研究成果は細胞生物学分野の国際学術誌「Cell Research」の電子版に掲載された。

 同研究所は5日、張氏のチームがアルファウイルス属のベネズエラウマ脳炎ウイルスを複製した子ウイルス粒子システムをベクターとして、新型コロナウイルスの受容体であるヒトのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)をマウスの気道に送り込むことで、新しいタイプの新型コロナウイルスマウス感染モデルを確立したと明らかにした。

 研究チームはこのマウスモデルを用いて、同ウイルスに対する中和抗体や不活化ワクチンのウイルス感染症治療効果を評価した。その結果、中和抗体を注射され不活化ワクチンで新型コロナウイルスに対する免疫を獲得したマウスは、同ウイルス感染後、肺の中のウイルス量が大幅に減少し、病理学的損傷も軽減された。これにより同モデルが中和抗体やワクチンの評価に十分応用できることが示された。

 この感染モデルは、通常のマウスを用いて短い周期で迅速に構築でき、短期間で大規模な普及が見込めるため、新型コロナ研究の動物モデル不足緩和に役立つことが期待される。(c)Xinhua News/AFPBB News