【9月10日 Xinhua News】中国の月探査チームは、世界で初めて月の裏側に着陸した探査機「嫦娥(Chang'e)4号」が収集したデータに基づき、同機着陸地点表面の堆積層の厚さを確定し、詳細な地下構造と進化の歴史を明らかにした。

 研究の結果、月面で最大・最古の衝突盆地内にある嫦娥4号の着陸地点では、小惑星の衝突や玄武岩マグマの噴出が複数回起きていたことが分かった。

 2018年12月8日に打ち上げられた嫦娥4号は、19年1月3日に月の裏側の南極エイトケン盆地にあるフォン・カルマン・クレーターに着陸し、人類初となる月の裏側への軟着陸に成功した。月探査レーダーなどを搭載した月面探査車「玉兎(Yutu)2号」は月面の物質組成と地下構造を科学的に調査。中国科学院の地質・地球物理研究所と空天信息創新研究院、マカオ科技大学などの研究チームが、月での最初の3日間(月の1日は地球の約27日8時間に相当)に玉兎2号の月探査レーダーによる調査を実施し、着陸地点の地下構造について重要な発見をした。

 玉兎2号が検出した物質は、フォン・カルマン・クレーターの底部を埋めている月のマントルから噴出した玄武岩マグマではなく、近くのフィンセン・クレーターからのものだった。中国科学院地質・地球物理研究所の林楊挺(Lin Yangting)研究員は、これらの新発見は南極エイトケン盆地の進化の歴史を理解し、その後の月内部の物質組成や構造を調査研究する上で非常に重要だと述べた。

 専門家によると、小惑星の衝突は地球の初期の進化にとって重要な原動力だったが、長期間にわたる地殻変動で地球上にあったクレーター衝突の痕跡はほとんど消えてしまった。月は質量が小さいため、内部の進化がかなり古い時期に止まったことから、月表面の衝突クレーターや噴出物の堆積プロファイルには地球-月系の小惑星衝突の痕跡がはっきりと残っている。

 研究成果は国際学術誌「Nature Astronomy」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News