【9月10日 AFP】中国の王毅(Wang Yi)外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連のオンライン外相会議で、「米国が南シナ海(South China Sea)の軍事化において最大の推進力となりつつある」と非難した。中国国営の新華社(Xinhua)通信が10日、伝えた。

 米中の対立は、今年のASEAN関連会議の主要議題となる見通し。中国は先日、実弾軍事演習の一環として南シナ海で弾道ミサイルを発射している。

 中国は資源の豊富な南シナ海の大部分について、独自に設定した境界線「九段線」を根拠に重要な貿易航路に対する歴史的権利を正当化して、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾と領有権を争っている。

 王氏は、中国の最大の懸念は南シナ海の「平和と安定」だと主張する一方、米国を「緊張をつくり出し、そこから利益を得ようとしている」と非難。「米国は、南シナ海の平和を損なう最も危険な要因になりつつある」と述べた。

 今年のASEAN首脳会議は、係争海域への人工島造成をめぐって米国が中国企業20社余りを対象に制裁を科すと発表してから初開催となる。中国は制裁について「専制的だ」と批判している。

 一方、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は今週、中国共産党が「明白で激しさを増しつつある近隣諸国いじめのパターン」に関与していると非難した。

 ASEAN関連会議では、南シナ海でも最も豊かな漁場の一つであるスカボロー礁(Scarborough Shoal)をめぐる中国とフィリピンの新たな対立も協議されることになる。(c)AFP