【9月10日 AFP】高級品小売り世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは9日、総額162億ドル(約1兆7200億円)で米宝飾品大手ティファニー(Tiffany)を買収する合意を撤回すると発表した。これに対しティファニーは、合意の履行を求めて法的措置を取ると述べている。

 この争いは、米仏貿易紛争と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が高級品業界にどれほどの影響を及ぼしているかを浮き彫りにしている。

 LVMHは、「ティファニー買収の土台を危うくする一連の出来事」、とりわけ米国がフランス製品に関税を課すとけん制していることを受けて、取締役会で買収合意の撤回を決議したと発表した。

 LVMHは、米政府がフランス製品に関税を課す方針を示したことを受けて、ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏外相から届いた買収合意の履行先送りを指示する書簡について、把握していると述べた。

 さらにLVMHは、ティファニー側も契約の合意の履行延期を求めていたとして、「現状ではティファニーの買収を完了できない」と主張している。

 これに対しティファニーは、「独占禁止法をめぐるクリアランス取得に関する義務」の不履行でLVMHを提訴すると述べた。

 映像はパリにあるティファニーの店舗と、LVMH本社の資料映像。2019年11月撮影。(c)AFP