【9月10日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)で通算2度のシーズン最優秀選手(MVP)に輝いたスティーブ・ナッシュ(Steve Nash)氏は9日、指導者経験がないもののブルックリン・ネッツ(Brooklyn Nets)の新ヘッドコーチ(HC)に指名されたのは「白人特権」が働いたからだという見方を否定した。

【写真】ナッシュ氏のビフォーアフター

 先週HCに指名されて以来初めて公の場に現れたナッシュ氏は、NBAでアシスタントコーチの段階を踏まず「列を抜かして」指揮官の座に就いたことを認めた。

 しかしオールスター(NBA All-Star)に8度出場した46歳は、選手としての18年の経験と、ゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)でコンサルタントとして2度NBAファイナルを制覇した実績により、自身はネッツの指揮官に適任になったとの考えを示した。

「これまで白人特権の恩恵を受けてきた。このポジションにつけた要因が白人特権だと言っているのではない」

「人種的、社会的正義を定義するまで長い道のりがある。自分はその大義を目指す仲間であれたらと思う。こうした大義、目標にとても敏感になっている」

 ナッシュ氏をめぐっては先週、ベテランの黒人アシスタントがNBAファイナルで2度の最優秀選手(MVP)選出を誇るケビン・デュラント(Kevin Durant)、そしてスーパースターのカイリー・アービング(Kyrie Irving)擁するチームの立て直しに尽力する中、彼らを差し置いてHCに指名されたため、各所から不満が噴出していた。

 5度のアシスト王に輝いたナッシュ氏は、「自分は列を抜かしたが、同時にNBAのチームを20年近くけん引したことは、とてもユニークだと思う」と現役時代に選手として果たした役割に触れた。「自分はその立場から一度も離れたことがない。裏方に回ったことはないが、キャリアを通じて多くを学んだ」

 また、バスケットボール殿堂(Basketball Hall of Fame)入りを果たしているナッシュ氏は、2017年と2018年にウォリアーズをファイナル連覇に導いたスティーブ・カー(Steve Kerr)HCを見て学んだという。「私に洞察力を与えてくれた。かけがえのないものだ。彼はその言葉や行動だけでなく、ただ一緒に過ごすことで多くを教えてくれた」

 ネッツは2007-08シーズン以降プレーオフ1回戦を突破したのは1度しかなく、2季連続でファイナルに進出した2003年の後は一度もカンファレンス準決勝の壁を破れておらず、ナッシュ氏はチーム再建を目指すことになる。(c)AFP