【9月10日 AFP】世界各国の人権団体が9日、連名で国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送り、中国による一連の人権侵害問題を理由に2022年北京冬季五輪の開催権を剥奪するよう求めた。

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 香港での弾圧や、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)におけるイスラム系少数民族ウイグル人の大量抑留をめぐり、中国に対する監視の目と反発が国際的に強まる中、各国の人権団体が団結して動いた。

 8日付でIOC会長宛てに送られた書簡には160以上の人権団体が署名。北京で五輪を開催すれば、中国における「さらなる抑圧の一因となる」と警告。2008年夏季五輪の開催地が北京に決まった後には、「統治下で暮らすコミュニティーで明らかな暴力の増加」があったと指摘した。

 その例としてウイグル人の大量抑留や香港の国家安全維持法を挙げ、「何度も訴えてきたが、IOCは過去と同じ過ちを繰り返し、2008年北京五輪の前後に人権保護の著しい低下があったことを示す証拠に対して無反応を貫いている」とした。

「中国の統治下にある地域での人権危機の悪化が無視されれば、五輪精神と五輪の評価が一段と損なわれるということをIOCは認識しなければならない」

 書簡にはウイグル人権プロジェクト(Uyghur Human Rights Project)、世界ウイグル会議(WUC)、チベット青年会議(Tibetan Youth Congress)をはじめ、世界各国に拠点を置く香港やモンゴルの人権団体が署名している。

 中国政府は新疆ウイグル自治区の各収容所は「職業教育センター」であり、新疆やチベットにおける政策は国家の安全を守り、過激主義を抑える目的があると主張している。(c)AFP