■「最も好ましくない」民族

 だが、最も好ましくないとされる民族名は、主に迫害を受けているロヒンギャを指す蔑称として使われる「ベンガル人」だ。

 2017年8月のミャンマー軍の弾圧によって75万人のロヒンギャが、ミャンマーのラカイン(Rakhine)州からバングラデシュに逃れた。この弾圧は、国際司法裁判所(ICJ)がロヒンギャへのジェノサイド(大量虐殺)をめぐる裁判を開くきっかけにもなった。

 ミャンマー国内では今も約60万人のロヒンギャがいるが、市民とは認められず、権利も剥奪され、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)が「アパルトヘイト」と呼ぶ状況で暮らしている。

 マシソン氏によれば、最近ではイスラム教徒が「ベンガル人」として登録させられる事例が全国で相次いで報告されているという。

 同氏は、NLDは「支持者の多くが問題視していない人種差別的な制度を修正するよりも、重要なことがある」と考えていると非難した。

 イスラム教徒のマウン・チョー(Maung Cho)さんは、軍事政権の時代よりもイスラム教徒に対する差別はひどくなっていると指摘する。イスラム教徒は「失望し、意気消沈して」おり、自身の多くの知り合いは、現政権に幻滅し、総選挙では投票しないと決めていると述べた。(c)AFP/Su Myat MON / Richard SARGENT in Yangon