【9月15日 AFP】ミャンマーのメイ・タンダー・マウン(May Thandar Maung)さん(18)は、11月の総選挙で初めて投票するのを心待ちにしていた。

 しかし、マウンさんは「イスラム教徒だからという理由で、身分証明書を取得できていない」と話す。身分が証明できなければ、投票はできない。

 マウンさんの身分証明書を取得しようという試みは、地元当局によって1年以上にわたり妨げられてきたという。一方、仏教徒はこのような問題とは無縁だ。

 マウンさんの故郷ミャンマー中部のメティラ(Meiktila)は、2013年の仏教徒とイスラム教徒の衝突の傷痕が今も残っている。

 仏教徒が多数を占めるミャンマーでは、2011年の民政移管後から2度目となる総選挙が11月8日に行われる予定だ。アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問が率いる与党・国民民主連盟(NLD)が再び政権を握るとみられている。

 今回の総選挙では、バングラデシュの難民収容所や、ミャンマー国内の避難民キャンプや村に閉じ込められているイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)はほぼ全員が選挙権を剥奪される見込みだ。

 ミャンマーには、ロヒンギャ以外にもイスラム系民族がおり、人口の約4%を占めている。このようなイスラム系民族は、理論上は市民として認められているものの、実際の扱いは異なっている。

「学校、職場で差別されている他、公職への就業機会にも違いがあり、反イスラム感情は絶えず存在する」と話すのは、ヤンゴンを拠点に活動するアナリストのデービット・マシソン(David Mathieson)氏だ。

 また、身分証明書を取得できたとしても、民族名を記載する欄があるため苦難は続く。イスラム教徒の身分証明書には、主に南アジア出身であるという偽の民族名が記載されることが増えている。

 約25万人いるヒンズー教徒も「混血」と記載されるという、同様の問題に直面している。