20年間のエンジン"ホット100"ランキンの16位として選考委員たちに選ばれたレクサスLC。日本と海外(主にドイツ)の自動車メーカーの違いはいくつか散見されるけれど、そのひとつは販売台数が期待できないクルマをそれでも出すか否かの判断にあると思っている。例えば日本車からワゴンやクーペがほとんど消えてしまったのは「売れないから」である。ワゴンやクーペが芳しくないのは海外市場でも同様だが、それでもドイツ・メーカーは絶対それらを外さない。商品戦略を個々の車でとらえず、フルラインナップで俯瞰して見ているからだ。だから、こういうクルマは日本からは生まれないと誰もが思っていた。

「ようやく世界にアピールできるラグジュアリーGTが出来ました」(九島辰也氏)とか「日本が、遂にこんな贅沢なクーペを生み出せる国になったのかと感動した」(島下泰久氏)というコメントは、私たちの諦めをいい意味で裏切ってくれたことへの賛辞である。このクルマが高く評価されるのはそういった精神論だけでなく、「エレガントで繊細」(小川フミオ氏)、「ダイナミックなボディラインと気持ちいいエンジン」(小沢コージ氏)、「日本車離れした妖艶なデザイン」(金子浩久氏)、「ずっと聞いていたくなるエンジンの吸排気音」(五味康隆氏)、「オリエンタルビューティ」(森口将之氏)、「V8 5L自然吸気は今のうちに楽しみたい」(藤島知子氏)など、スタイリングやエンジンにも及んでいる。特にスタイリングに関しては、かつてここまで絶賛された日本車の記憶がない。レクサスLCは“奇跡の1台”なのである。

■レクサスLC

全長×全幅×全高=4770×1920×1345mm、ホイールベース=2870mm、車両重量=1930kg~。最高出力=477ps /7100rpm、最大トルク=540Nm/4800rpmの5L V8エンジンもしくは、299psの3.5L V6+電動機(180ps)が選べる。1350万円(税込)~。

文=渡辺慎太郎(自動車ジャーナリスト)

(ENGINE2020年9・10月合併号)