20年間のエンジン"ホット100"ランキング、カングーが堂々の17位にランクイン。乗用車の主流の“形”がミニバンとなり、室内空間は大きくて当たり前となった21世紀。全高を大きく引き上げたおかげで居住空間も荷室も、それまでの主役だった3ボックス・セダンや2ボックス・ハッチバックよりずっと広く大きくなった。けれど、車体寸法に対する実効容積比率という観点で見れば、商用車に敵わないのは洋の東西を問わない。ならば、いっそのこと商用車を乗用車に転用してしまえばいい。それを見事にやってのけたのがルノーの初代カングーだ。設計の基本はあくまでも商用車なのに、乗用車としても秀でた結果を出してみせた。

「あの見た目でも走りは正確で楽しい。ハイトがあるボディだが、ロールはゆっくりで揺り返しもない。単純なシートだが座り心地は極上だ」(菰田潔)。「走りのレベルは超一級。街中では乗り心地よく、ちょっとしたワインディングを気持ちよくこなす一方で、GTとしても優秀だ」(西川淳)と、多くのクルマ好きが意外なまでのデキのよさに驚いた。シャシー設計は商用車用そのままなのだから、商用車版も同等に快適なのだろう。「これに乗って働いているフランス人は幸せだと思ったものだ」(森口将之)という思いも抱いて当然。これに乗ると、無駄に豪華を装った乗用車の多くの存在意義を疑いたくなったものだ。乗用車としての性能をさらに引き上げようと頑張った2代目カングーも優れものだが、「小型軽量の初代は歴史に残る金字塔」(佐野弘宗)と言いたい。

■ルノー・カングー1.6

全長×全幅×全高=4035×1675×1810mm、ホイールベース=2600mm、車両重量=1210kg~。最高出力=95ps/5000rpmの1.6L 直4エンジンで前輪を駆動。5MTもしくは4ATが選べた。

文=齋藤浩之(ENGINE編集部)

(ENGINE2020年9・10月合併号)