【9月9日 AFP】ウクライナとの国境地帯でベラルーシ当局に身柄を拘束された反政権派幹部マリア・コレスニコワ(Maria Kolesnikova)氏について、同行していた側近らは8日、ベラルーシ当局が国外退去の強制を試みたことを明らかにした。コレスニコワ氏は退去を避けるため自身のパスポート(旅券)を破り、車の窓から外へ脱出したという。

 コレスニコワ氏は、先月の大統領選に出馬した主要野党候補スベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏の選挙活動で大きな役割を果たした人物で、選挙後はアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)政権に反対する大規模な抗議デモでも発言。だが7日に行方が分からなくなり、首都ミンスクの路上で車に押し込まれ連れ去られたとの目撃証言が出ていた。

 ベラルーシ国境警備隊は、8日早朝に国境越えを試みたコレスニコワ氏を拘束したと発表。同氏には反政権派が設立した調整評議会(Coordination Council)の側近であるアントン・ロドネンコフ(Anton Rodnenkov)報道官とイワン・クラフツォフ(Ivan Kravtsov)書記が同行していたと説明した。

 ウクライナ政府は、この2人が国境を越えたことを認め、コレスニコワ氏は自発的に出国を試みたのではなく、強制退去に抵抗したと説明。首都キエフではその後、ロドネンコフ、クラフツォフ両氏が記者会見を開いた。

 ロドネンコフ氏によると、コレスニコワ氏は「(車の)後部座席に押し込まれ、自分はどこにも行かないと叫んだ」後、パスポートを破り、窓から車外に出て徒歩でベラルーシ国境へと戻ったという。

 クラフツォフ氏は、7日にコレスニコワ氏が拉致されたとの情報を聞いた後、同氏のアパートにロドネンコフ氏と共に向かっていた際にミンスク市内で身柄を拘束されたと説明。2人は両手を縛られ、頭に袋をかぶせられた状態でさまざまな建物へと移動させられ、尋問や法的措置を取るとの脅しを受けた後、コレスニコワ氏と共に出国する機会を与えられたと述べた。

 3人は車でウクライナとの国境地帯に連れていかれ、ロドネンコフ氏とクラフツォフ氏はウクライナ側に越境したものの、コレスニコワ氏は出国を拒否して身柄を拘束された。(c)AFP