【9月8日 AFP】中国とインドの国境に位置するヒマラヤ(Himalaya)地域の係争地ラダック(Ladakh)で、過去数十年で初めてとされる発砲があった。これを受けて両国は8日、先に撃ったのは相手側だとして非難の応酬を繰り広げた。数か月前から続いている両国の衝突では、すでに少なくとも20人が死亡しており、今回の発砲で対立が激化している。

 同係争地では暴力の拡大を回避するため、双方の国境警備隊は火器を使用しないという暗黙の合意があり、国境越しの発砲が確認されたのは数十年ぶり。

 中国は8日、インド側の兵士らが発砲したことを受け、自国の兵士らが「対抗措置」を講じたと発表。

 中国国防省は、インド側が7日に、ラダック地方の実効支配線を越えて「発砲」するという「深刻な軍事挑発」に及んだ責任があると指摘した。

 インド側は直ちに反論。中国の国境警備隊が「露骨な合意違反」を犯し、インド兵らを威嚇するため「空に向かって数発」発砲したと主張した。

 インド軍は、「重大な挑発行為を受けたにもかかわらず、わが軍は見事に自制し、慎重で責任ある行動を取った」としている。

 同地では6月に、インド兵20人が死亡する衝突が発生。中国側も人的被害があったことを認めているが、具体的な死傷者数は明かしていない。この衝突以降、両国関係は急激に悪化している。

 中国人民解放軍(PLA)は報復に当たる措置について詳細は明かさず、衝突をめぐる調査をインド側に求めている。

 標高4000メートル超に位置する同係争地には、国境の両側に数万人規模の部隊が配備されている。(c)AFP