【9月8日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(44)が化学兵器として使用される神経剤ノビチョクの被害に遭ったとされる問題で、同氏の治療を行うドイツの病院は7日、同氏が人工的な昏睡(こんすい)状態から脱し、言葉での呼び掛けに反応していると発表した。

 汚職撲滅運動の活動家で、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領批判の急先鋒(せんぽう)に立つナワリヌイ氏は先月、搭乗した国内線の機内で体調が急変。シベリア(Siberia)の病院で治療を受けた後、ドイツの首都ベルリンに移送された。

 転院先のシャリテ大学病院(Charite University Hospital)は、ナワリヌイ氏の容体が「改善」し、「言葉での刺激に反応」していると発表。人工呼吸器は外されたものの、毒物による長期的影響があるかどうかはまだ分からないという。

 ドイツ政府は先週、同国軍が行った検査の結果、ナワリヌイ氏がノビチョクの被害に遭った「明確な証拠」が得られたと発表した。ノビチョクは2018年に英イングランド南部ソールズベリー(Salisbury)で起きたロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏暗殺未遂事件でも使用されていた。

 ナワリヌイ氏の側近らは、ノビチョクの使用はロシア政府の関与を示すものだと主張。一方のロシア政府は関与を全面的に否定している。(c)AFP