【9月7日 AFP】(更新)インドネシアのスマトラ(Sumatra)島に7日朝、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民300人近くが漂着した。国連(UN)当局者によると、難民らは7か月間海でさまよっていたという。一度に漂着した人数としては、インドネシアでは少なくとも2015年以来の規模となる。

 ロヒンギャ難民が漂着したのはスマトラ島北部ロクスマウェ(Lhokseumawe)近郊の村で、村長によると、ロヒンギャらの乗った船1隻が海岸に近づいてくるのを地元住民が発見し、上陸を手助けした。

 この地域を管轄するインドネシア軍司令官によれば、船には男性102人、女性181人、子ども14人が乗っていた。少なくとも1人が体調を崩しており、地元の病院に搬送されたという。今後、上陸したロヒンギャ全員に新型コロナウイルス検査を実施するとしている。

 国連当局者は「彼らの証言によると、7か月間海で漂流していたという」「彼らは現在、非常に弱っている」と述べた。

 ロヒンギャ人権問題に取り組む非政府組織(NGO)「アラカン・プロジェクト(Arakan Project)」のクリス・レワ(Chris Lewa)氏は、密航請負業者は難民の親族から金をゆすり取ろうとし、その間、難民らは海にとどめられていた可能性があると話した。

 レワ氏は「実質的には彼らは人質に取られていた」と指摘。「(密航業者は)支払いが終わるまで着岸しないと言った」と説明する一方、「全容はまだ把握できていない」と述べた。

 地元住民は食料や衣服を難民に寄付しており、ロクスマウェの住民の一人は「彼らの状態を心配している」と述べ、「人道の名において彼らには支援が必要だ」「彼らは私たちと同じ人間だ」と話した。

 スマトラ島北部には6月にも、女性と子どもを中心とする約100人のロヒンギャの一団が漂着している。この一団は、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ近くから出航し、4か月にわたって危険な航海を続けていたと説明。その間、密航業者から暴力を受け、自分の尿を飲まざるを得なかったと話していた。(c)AFP/Sarina