■ベビーブーム

 インドでは、少女への影響を考慮せず、コロナ禍の経済的困難を解決しようとする家族によって児童婚が急増している。

 地元のある活動家は「嫁ぎ先からの見返りに得られる金銭やその他の支援を目的に子どもを結婚させる家族がいる。こうしたケースでは人身売買という概念が理解されていない。懸念すべき傾向だ」と不安げに語る。

 インドのデリー(Delhi)を拠点に活動するガールズ・ノット・ブライズのジャハさんも経済的なプレッシャーが問題の一端であることを認める。しかし、児童婚の問題はもっと複雑であると主張し、特にアジア圏では、ロックダウンによる学校閉鎖は、時間を持て余した10代の子どもたちがお互いに興味を持ち、結果的に家族の評判に傷が付くことを意味する懸念事項であることを説明した。

 そして、新型コロナへの対策で各国政府が「教育」「家族計画」「性と生殖に関する健康」といった大切な分野からリソースを移したことで問題は悪化しているという。

 インドネシアでは、学校の閉鎖と避妊手段へのアクセス低下を背景に、2021年初頭に大規模なベビーブームが起こると家族計画の担当当局が注意を促した。インドネシアの人口はすでに2億7000万人に上る。

 18歳のリアさん(仮名)はまだ未成年だが、すでに2回の結婚歴を持つ。1回目は、親族以外の男性と二人きりでいるのを目撃され、30歳以上も年の離れた男性と強制的に結婚させられた。リアさんが暮らす西スラウェシ(West Sulawesi)州の保守的な地域では、このように男性と二人きりになることはタブーとされている。

 リアさんはこの不幸な状況から何とか抜け出し、新しい恋人を見つけた。しかし、ほどなくして、目指す将来の夢は再び遠ざかることとなった。家族計画についてほぼ助言が得られないまま、ロックダウン中に妊娠してしまったためだ。家族は子どもの父親である21歳の男性と結婚するよう主張した。

「夢は客室乗務員になることだった」と当時を振り返るリアさんは、本名は出さないようAFPに求めた。